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造作加工工程

1.使用される造作材の数年間の乾燥

当社では洋風造作にはタモの木を主に使用していますが、他にもスギやヒノキ、ヒバ材などたくさんあります。原材料は写真のように製材された通常の平板です。これを作業場の2階(床からの湿気をさけるために)数年間(最低夏を2シーズン)保管し、木材をより乾燥させ水分を抜きます。
こうすることで取り付け後、無垢材に見られる収縮や材料の動きを最小限に抑え、設置後、木を室内環境に安定させることができます。これこそが当社のこだわりと努力のひとつといえることができます。

2.基本中の基本「矩出し(かねだし)」

数年乾燥させた材料もいよいよ加工が行われます。
加工工程ではまず90度かねだし、厚み決定(分決め)、各材料への引き割り(分決め)、選別作業、溝付き、カンナ仕上げ、面取り作業で完成となりますが、各作業の基本中の基本作業がこの「90度かねだし」作業です(かねだしとは、大工言葉で90度にするという意味と思ってください)。
最初に行うこの「かねだし」が完璧に行われないと、次からの工程や現場での取り付けがうまくいかず、汚い仕上がりになってしまいます。
造作材作業工程の最初の要とも言える最大の作業がこの作業です。

まず平な面を、大型木工機械に平面を抑えながら通し、乾燥中にできた木の凹凸面を平らにします。
次に平らにした面を木工機械のの90度金板にしっかりと合わせ、対角方向も平らにします。こうすることで、四角型のうちの2面方向が90度になり、面も平らになります。

3.材料の分決め(厚みや巾決め)

かねだし作業が終わると、次は平らな2面を基準として、木工機械にいれて厚みを決めます。大工言葉でこれを分決め(ぶぎめ)と言います。ここで気をつけたいのは木目の方向と向きです。
機械の回る刃の方向に逆らわないように大工が木目の方向と裏表を判断し、機械に入れていきます。この作業をプレナーかけともいい、厚みを決める重要な作業のひとつでもあります。

4.引き割り作業

分決めが終わると次は、広い板を使用する各材料に必要な巾に引き割ります。ここで問われるのが大工のセンスです。
私たちは1軒1軒、各造作材の巾や大きさを変えていきます。家はひとつとして同じものはありません。造る家の外観や完成した時のバランスや色を頭に描き「おっ!なんかいいねえ」と言っていただけるよう、その家に似合う巾や大きさの造作材に仕上げていきます。
引き割りの時にもうひとつ注意するのが木目の取り方です。木という物は、外観はおとなしい縦目(柾目)で、真ん中はタケノコみたいな板目になっています。
当然、広い板を小さく引き割れば木目(表情)も変わっていきます。巾木や回りブチ、窓枠など引き割る部分を分けることにより、その木が一番良い表情になるよう、一本一本判断し、引き割り作業を行っていきます。

5.飾り溝付け作業

引き割り工程が終わると、引き割った方向面を分決め(工程その2)を行いここではじめて四方向の寸法が決まります。
これでひとまず各部材の型が完成しました。次に材料のお化粧とでもいいましょうか、後の現場にて入る材料のミゾや飾りミゾなどを付け、材料を表情豊かにしていきます。
MDF材との最大の違いはこの作業があるかないかです。手造りの造作材は既製品よりも3.2倍も厚みがあり、壁材や天井材は造作を取り付けた後に施工する工程となりますが、既製品は間逆の壁材、天井材を取り付けた後貼り付けていきます。
写真で行っているミゾに仕上げの壁材が入るのですが、このミゾが造作材を取り付けるための隠し穴になるわけで、完成時には手造り材の場合、取り付けるための釘は一切見えません。
「取り付ける」と「貼り付ける」という言葉の差でもあります。

6.選別作業

ミゾ付け作業が終わると次は材料の行き先を決めます。これが選別作業、選び抜いた材料でも1本1本、木目(顔つき)が違います。
リビングや寝室、玄関などにその中で一番良い木目のものを選び出し、クローゼットや洗面、トイレなどは次にまわし、材料の行き先の名前をつけます。
これを全体で見比べられる状態のときに行わないと、現場で大工がみて「あれ?これ木目が逆だったり、左右が逆だったり」とせっかくの無垢材の表情が台無しになってしまいます。
その木が一番キレイで自信をもって堂々としていられるところに大工が設置してあげれば、その木がさりげなく主張することができ「あれ?なんだろう?なんかこの現場、他と同じようで違うよね」と皆様にもなんとはなしに気がついていただけるものだと思います。
当社も数多く見学会を行ってきましたが、毎回数人の方に「なんかわからないけど違うな」といっていただいておりますが、この選別作業が反映できたことであり、これは紛れもない事実です。
本物の無垢材にしか出来ない顔の仕分けともいいます。全体の選別には数時間のロスを要しますが、絶対に抜くことの出来ない大切な作業です。

仕上げ作業

各造作に表情を付け終え、次の工程は木材をより平らに仕上げ、光沢を出すために、カンナで削り仕上げます。この作業時にも分決め(工程その2)で行った時以上に、木目の向き、木の表裏方向を慎重に判断し、逆木目(さかめ)にならないように丁寧に仕上げていきます。
削りが終われば最後は面取り(カドを取ること)を行います。
私どもは最後にこの工程にこだわっており、大工のセンスが光る部分と考えております。面は小さな作業工程ですがツラとも呼びます。つまりツラが前、イコール材料の顔であると考える関係上、大きすぎず、小さすぎず、またその造作材が使われる場所や高さ、左右外観内側による大小なども考慮して、アンバランスにならないよう、いつもベストバランスを心がけ面取り作業を行います。

最後に

ご覧の皆様はこれだけの材料と制作時間をかけて他社より高い建築は当たり前であり、芸がない?
大工さんこれではどうしようもないよ!と思うのではないでしょうか。
ありきたりな言い訳に聞こえるかも知れませんが、当社は3名しかいない小さな建築会社であり、営業やきれいな住宅展示場もありません。
以前建てられたお客様の住まれている家を見て感じていただく営業でしかありませんが、見せるための展示場と違い、住まう人のために造った住まいを見てもらうことで、ご自身の求める住まいの現実味が感じられ、選ばれるお客様側、また当社にもメリットは大きいはず(毎回大切な住まいを見学させていただいているお客様には大変感謝申し上げます)
富士市内にある常設展示場の経費は土地代や営業経費を合わせ月に150万円以上ともいわれております。建築屋でいる以上、これらの経費はお客様からいただいた建築費用の一部であり、これらをカットした建築屋はさらに良い材料やひとクラス上の設備、より強く太い構造材、またこれからの住まいには絶対に取り入れたい高気密住宅などの建築的費用にまわすことにより、本当のエコ住宅または過ごしやすい住まいを低価格にて実現できると私たちは思っています。
特に当社では大きな材料仕入れを材木産地と特別契約を結ぶなど、直接仕入れにより中間マージンを極力カットし、仕入れコスト削減に取り組んでいます。
今回は当社の小さなこだわりを紹介しましたが、これからも誰も行っていないほんの小さなこだわり、言われなければ気がつかない程度のことにも重点をおき、作業を行っていきたいと思っています。

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