2008年03月30日

きらびやかに建築の美

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29日、二ヶ月半におよんだ手きざみ作業の集大成!!上棟式となりました。
27日より建て始め28日に屋根の破風タルキの取り付けを行いました。
これが取り付けられるとむくり屋根のラインがはっきりと姿を現す。
以前書きましたがこのラインはセンスが問われる むくりすぎると猫背みたいな姿になってしまう 判断がものをいうと思います。
5人の手伝いの大工さんにはイイね!!と好評!!
すっきりとさりげない、とてもきれいなラインがでました
基本勾配は4寸むくらした寸法は?ナイショです。(写真では圧縮の関係で勾配が急にみえます)
よくよく考えていくと我々大工は1からではなく0から物事を決めてそれを形にしていくことが多い、同じ間取りの家はないから手本はない。考えることは多いです
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今回は破風タルキの上に木小舞(きごまい)といわれる横木を流しました。
この小舞を入れると半端でなく手間と材料ががかかる作業となる為、敬遠されがちなのであまり見る事がないかと思いますが、そこはまだ若い我々、自身が動けばカバーできる範囲
施工後の軒先を眺めると、なんともきらびやかな雰囲気!!
これぞ建築の美のひとつ!!個人的に小舞好きですね。
ほかの大工さんにもやっぱ小舞いいねと好評 気分も乗るようでした。

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29日は上棟式、用意されたお餅はなんと120キロ以上!!
今回は提案で子供専用のキッズコーナーを設け200人を前に餅まきを行いました。
最近は、なかなか行われない建前ですが、親戚一同や近所の方が集まり力を合わせ一緒に行う行事、人が集まればその家がさらに栄えるという意味もあるのだとか
昔からある大事な行事ではないでしょうか?
しかし何度経験しても苦労したひとつの家を建てる達成感はいいものです。まだこれからが長いのが分かっていてもひとつの区切りでもある。
上棟が終わり、私もやっと ひとだんらくできそうです。


建前作業始まる

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27日にいよいよ和風平屋の家建前作業が始まりました。
それにしても横に長い住まい 全巾なんと24m(普通9m位)これだけ長いと組終わった後に行う よろびおこしの(柱を垂直に起こす作業)作業が大変 てこずる。
と思っていましたが、さすが長尺(長い材料のこと)を用いた組み付け さらに木のツナギ手に木自らが引き付け合う、 かなわ つなぎを用いてあることもあり、
寸法も24m先又真ん中でも狂いがなく、ピシャリ!! 調節いらずでした 
うまいぞ俺!! 天才か? なんてね?
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全景はこんな感じです、この長さを、人の手で起こすのですから、いかに正確に組まれて行ったかがお分かりいただけるかと思います。
全部で縦方向が12箇所、横方向が6箇所の面を起しなおして行きました。
明日からは屋根の作業に取り掛かります。
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今回は高気密、高断熱で和風ということで、梁や桁の組み方も断熱材作業の工程に合うように組まれています。

2008年03月24日

セーフ!まにあった?

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2ヶ月かけて作業場にて加工してきた、和風平屋の家きざみ作業 なんとか
間に合い、今日から現場にて土台のすえつけ作業が始まりました。
先日和風住宅の顔の部分である 破風板(屋根の三角の木の部分)を造りました
今回は屋根がむくるということで、破風板は上は広く 下にいくにつれ細くするデザインを採用しました 
これは広すぎてもしっくりこないし細くても貧弱にみえることもあり、とてもセンスが問われる 同業者はあぁーーだぁ こぉーーだぁ いいたがる こわこわ!!
作っていて はっきりいってドキドキです。
でもきれいなラインに仕上がりました
この破風板 最後に破風下場に眉といわれる斜めのシャクリを入れて 完成!!
これが入ると日本建築の美 がますように思います。
今回の住まいはすっきりとした和風住宅の表現、その中で木を主張をさせる
うーーん 難しい  落ち着いた住まいですか?
しかしなんど、何年たっても経験しても上棟が近いと落ち着きませんね 
やはり責任が重いですからね
気持ちも高ぶってきますが やることが多くイライラも増しますね
私、上棟中は協力業者達に言わせると怖くてよつけないそうな?泣かしたろか?
気合が入る建前 いよいよ27日からとなります。
上棟のようすはまた終わったらお知らせします。
ここでほっとひと息!!CMタイム
明日25日いよいよ小笠原建築が紹介されている、静岡新聞社発行の住宅雑誌 
カーサ・ベッラ春夏号が発売されます 
家を建てる人もそうでない人も 本屋さんに行って、立ち読みでもいいのでのぞいてみてください (本屋さんごめんなさい) 


2008年03月20日

カンナの話

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こんばんは やっとブログが書ける暇ができました。
今月は休みナシでがんばっています 来週の今日から和風平屋の家が建てはじめ
ます 上棟が終わったら 少し休んで 花見でもしてすごしたいですが できるでしょうか?
ここ2日は和室絡みの柱をカンナで仕上げていたのですが、何せ全体で102本の柱の7割 70本が和室絡みの柱  普通和室ひと間に対し9本といえばいかに多いかお分かりいただけるかと? ありすぎですね 
以前も書きましたが 今は中々カンナで仕上げた柱は少ない、今は超仕上げという機械に入れればきれいにけずれて3秒ほどで1面が終わってしまう
では機械けずりと昔ながらのカンナとでは何が違うのかと言うと、見た目は言われないと分かりません 違うのは手ざわりとツヤが違います 
木が鏡みたいになります。 数年たつと輝きが違ってくると思います。
さてこのカンナ とても難しくシビアな道具 今日はこの話です
上の写真のカンナ台よく見ると丸が左右に二つかいていますが、
実はこの台は丸の部分の辺しか柱に当たっていません ほかは、すきとられています。(掘れている)
理由はカンナは、新聞紙一枚を5回くらいに分けてけする道具なので 
刃よりもその他の部分が、わずかに高くては削りカスは出ません 
また当たる部分を減らし、抵抗を柔らげ引きを軽くするためでもある。 
またこの台合わせは、刃と一致しないとならないので 研ぎのときに気を使う (まっすぐに研がないといけない)
研ぎと合わないと柱くらいの仕上げになると
全然きれいに仕上がらない 
これができるようになるのにはかなりの年月が必要
おまけに刃は端をわずかにRにする まっすぐな刃にしてしまうと刃より広い巾の柱を仕上げると、刃の端部が通った後がついてしまうのでわずかにRに研げば滑らかにけずれるのでこれが出ない 
Rに取りすぎると今度はそこに こ がふいてしまう
いわゆるけすれていない症状が出る
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台の次は刃の仕込みです 刃が入る斜めの部分が少し黒いかと思うのですが
これば刃の裏に鉛筆を塗りこみ刃を入れ、すぐに抜き鉛筆が付き当たったところをけすっていき
全体が均等に当たるように仕込んだからです 
車のシートと同じで、刃も刃の形にあったシートになじませてあげる
体にぴったりあったシートに乗せてあげれば加速中も刃がガタガタしないと言えば分かっていただけるかと?
しかしやりすぎるとゆるくなってしまいこまるので 新しい台にいれてもらうときは
たたいても刃が出ない六分仕込みに指定して(ホームセンターのはすぐ使えるようになっている)自分で調節していき 1時間くらいかけて初めてのぞくと刃が台から出るようにする  
柱を仕上げるカンナは硬さがものをいう 2、3発たたいたくらいで刃が出てくるようでは柱は仕上げられない また こ がふいてしまう
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次は刃です カンナの刃は2枚ありますが、これを裏刃というのですが2枚とも刃の先端で合わせて裏から明るい方をめがけてのぞくとわずかに光が見える 
これが髪の毛1本くらい これだとまたまずい 台に硬く仕込んだ刃ならまだいいがゆるいと
この隙間にけずった木のカスが入り込み また こ がふく 
だから刃の裏側は裏刃とも合わせないといけない 台と刃と裏刃が会わないと厳密にはいけない 
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さらに写真の台の裏側 刃の出ている部分(口という)左が刃と隙間がほとんどないカンナ 
右は使い込んだカンナ 口が広いと今度はカンナを引いた時パンクした車のようにバクバク ガタガタと踊ってしまい削れない 段差があったりするとよくわかる  ただ現場では口の広くなってしまったカンナをよくつかう 
口が広くなる原因は、木の小口(年輪の部分)などをけすりつけるのにつかうから 台が減っていってしまうから 
台を直せば直すほど口が広くなってしまうので 数年に一度新潟に刃ごと送り
左のように入れなおしてもらい また柱もけすれるように直す 
このくりかえし
カンナがいかにシビアな道具かお分かりいただけましたか?
文では難しいですが カンナは大工道具ではピカイチ難しい道具です
だから誰でも使いこなせる道具ではないのです


2008年03月13日

温かくなってきましたね

こんばんわ、4日ぶりのブログです。
朝夕温かくなってきたので仕事もやりやすいですね?
春は気持ちがいい 私は好きな季節です 
もうすぐ桜も咲きます今年は花見ができるでしょうか?
さて和風平屋の家、なんとか 上棟に間に合いそう?です。
明日は柱の加工が終盤に入り ちかじかカンナがけを行うのですがその前に、ひと手間かけます 
カンナをかける前の日の夕方、柱に一度水をかけ重ねておきます。
なぜわざわざ水などかけるのでしょうか?
柱は加工や乾燥されて行く過程で機械などの締め付けによる収縮が多少かかります 締りを戻すとでもいうのでしょうか?
柔らかい木ほど水に濡れると表面がボコボコとふいてきます  なんというか、ざらざらになってくると言えばいいのか? これを前もって防ぎたいので・・・ 
でっ!!なぜ水なのか? 和室の化粧柱は表に出る柱なので、たとえば上棟によくありがちの突然の雨!! こんなとき一度決定した表面をふかして置けば、濡れてもさらさらの表面のまま 全然平気 このためもひとつの理由
また柱の間に入る鴨居と敷居を取り付けるときにもすべりやすくする為とキズがつきにくくするために大工さんは表面をわざと濡らすので、このときに柱の表面がふいてこないように、先にふかしておく 昔の職人の知恵ですね
文がうまくかけませんが、わかりましたか?
そういえば10年ほど昔の修行時代、田舎のところでしたので 目の前の田んぼのせぎ?(水路)に浸けろといわれ1本1本完全につけていましたが あれはやりすぎだな せっかく乾燥してるのに丸ごと川につけるなんて!! なんてダイナミックな時代だったのか?
たまにうっかり流してしまい 下で洗濯をしていた、となりのおばあさんが拾って家に持ち帰り鋸で切ったら 中からなんと!!!なんて できた話はないですがよくやりましたよ。 真冬に!!
明日はいよいよ屋根の破風板が入ってくるので むくり屋根の原寸にあわせ加工
上の方は広く 下に行くにつれ細くなるように加工します 最後に表面下側に眉(まゆ)と言われる かざり?をカンナでつけます 
これがまたヤッカイな仕事なのですよ おまけにむくっているから余計に・・・
和風は本当に時間と手間がかかる 皆さん和風住宅を建てるとき 金額は多少ですが値切っても?(笑)大工さんの施工時間は絶対に値切らないように 注意しましょう。
和風は洋風と違いまるで別物と考えていただきたい 上棟までやること考えること多すぎ 
次回はたぶん来週です またおたのしみに!!


2008年03月09日

引渡し

先日、ビルトインガレージの家の引渡しを行いました。
施主様とお会いし、打ち合わせを重ね完成まで1年2ヶ月、こだわりの住まいが完成
しました。
以前も書きましたが、引渡しはやっぱりすこしさみしいですね、毎日仕事で通い思いが入って行くからでしょうか? 
でもたまに見にいけるのでこれも楽しみのひとつです。
施主様には今度の住まいはアパートと違い大きく掃除も大変ですが毎日家をかわいがって住まれていっていただければ作り手もうれしいです。
一週間住まれた昨日土曜日の夜おじゃましましたが、感想を伺うと?みなさん多いのがユニットバスの温かさと保温のよさをそろって口にしますね、
でもまだまだ引越しの片付けがいそがしく住まれた実感はもう少しあとといったところでしょうか。 もうすこしたったらまた伺いたいと思います。
ところで頼みのデジカメですが全治3週間の診断が下り修理中まだ帰ってきません
さて今日もプラン製作がんばります。


2008年03月05日

大忙し

みなさま こんばんわ!! ひさしぶりのブログです。
最近 昼は仕事 夜は製図作業と忙しく なかなかブログがかけないでいます。
3月いっぱい?くらいは週1回くらいのブログになりそうです。
ところで頼みのデジカメを落としてしまい ただいま修理中です。
今晩もいい間取りの下書きプランがひとつ完成 明日はこれをCADにて入力作業
これからの大工さんは提案力に+スピードが必要  寝てる暇などない
でも私 寝ないとダメなタイプなので 意外と早く寝てます 
参考図面も手書きではなくCADで書くので 早く見やすいと思います
この10日で3件の間取り制作をしました。 これからお客様の要望をより聞きいれ
また提案していきたいと思います。 宜しくお願いします。
和風平屋の家は現在何とか上棟が間に合いそうな気配?  ちと屋根にこり過ぎて
時間かかりすぎ やりすぎたかな? 
次回はガレージの家引渡しと 最近気になった 建築業界の流れをお伝えします


プロフィール

小笠原紀和 大工暦18年

小笠原紀和

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